2015年8月11日火曜日

良い年こいて青春18きっぷ旅:3日目

四国上陸を無事に果たし、3日目は少々ノンビリ過ごす事にしました。

道後温泉散策→松山駅→観音寺駅→高松駅

はい、あまりに道後温泉の居心地が良く、この日に行くはずだった金刀比羅宮は翌日に回して徳島入りを無しにしました。
道後温泉あなどってたわー。

さて、この日は計画通り早起きをしまして、朝の6時半には道後温泉本館に着いておりました。
昨日の受付で「霊の湯個室」のチケットを買い、混み具合はどうですかと聞くと「まだ全然ですよ」と嬉しいお返事。ウキウキしながら館内に入ります。

本館館内は、要所要所に係りのかたが居ます。そしてお客の買った券ごとに「そちらへ」「こちらへ」とテキパキ案内していました。さすが天下の道後、そうだよね、このさばき方じゃないと大混乱しちゃうよね…と関心しつつ、私はまず3階の個室へ。古い日本家屋らしい、細い急な木造階段を登ります。

3階に着くとこの階の係りの方々に券を見せて、これまた細い廊下(両側が各個室です)を通ってお部屋へ。1人でしたので少々小ぶり、しかし風通しのいちばん良い角部屋でした。衣装箪笥に小ぶりの机、ゴロリ用の枕に扇風機もあります。明かり取り窓や手すりの透かし彫りも素敵でした。1550円はたしかにお高いですが、道後温泉に来たなら是非体験したかったのがこの個室でした。
簡単に説明を聞き、個室専用の浴衣(柄は鷺です)に着替えてから浴室に向かいます。
ちなみに道後温泉本館は時間制。個室利用でも1時間20分しか居られません。

館内は限られた広さを上手に使って階段や通路が造られており、本当に迷路のようです。
まずは2階にある霊の湯へ向かいました。朝は神の湯の方が混雑するようで、こちらはガラガラ。私の他には1~2人しか居ませんでした。想像より狭い、しかし花崗岩の素敵な浴槽で道後のお湯を堪能しました。こちらは想像通り熱い!

霊の湯を出たその足で、今度は神の湯に入ります。
(係りの人に行き方を聞いたら、「え、行くんですか?」と怪訝そうな顔をされました…きっと個室利用の人は人ごみを避けてゆっくり、って場合が多いのでしょうね)
こちらは浴室の真ん中に楕円形の広々とした、これまた花崗岩の浴槽があって、天井も広くて開放的でした。
そして平日の早朝だからか全く混雑してなくて、洗い場も待たず湯船にもゆっくりつかれました。
しかし霊の湯でのぼせ気味だったので、浴室の雰囲気を味わっただけで退散です。

さっぱりして個室へ戻ると、係りのかたがお茶と坊ちゃん団子を持ってきてくれます。後は時間まで館内を見ても良し、ゴロゴロしても良し。私は当然後者です。
机には本館オリジナルグッズの一覧と一緒に絵葉書が置いてありました。必要事項さえ書けば、本館のほうで送ってくれるというサービス。無料です。実家へ便りを出してみました。
ゆったりと葉書を書くなんて何年ぶりでしょうか。すごく贅沢な時間が味わえたと思います。

時間が近づき、身支度してから隣にあった坊ちゃんの間などを見学して、個室を後にしました。
次に向かったのは「又新殿(ゆうしんでん)」です。本館に付随する形で明治32年に建てられた一角で、皇族のための建物です。
実際に使用されたのは昭和25年の天皇行幸時だけで、その後は道後温泉にも格式高い宿が建設されそちらを利用する事となり、現在は入館者の見学施設をなっています。
巨石をくり抜いた浴槽、見事な輪島塗の建具、美麗な襖絵、桐板の二重天井めずらしい古式の和式便所(下は砂です)などなど見どころは満載。ここは道後温泉に来たら1回見学した方が良いです。和風家屋の粋が集まっています。
又新殿の玄関区画(本館入口の裏手に、専用の大きな門と玄関が備わっている)はミニ展示室になっていて、昔の湯札や来訪帳、ゆかりのある茶道具が見学できます。様々な形の木製湯札を見るのはちょっと楽しいですよ。

道後温泉本館を出て宿に戻り、その足でお待ちかねの朝食バイキングへ。
はい、道後ややでは自社農園の獲りたて野菜をふんだんに使った朝食が大人気なのです。ちなみにランチも人気。両方とも宿泊客だけでなく外来もOKで、朝食はややで…という観光客も居るとか。

さて実際はどうよと訪れますと、まず野菜中心メニューの品数にノックアウト。朝からこんなに選んでいいの?ってくらい。種類豊富なサラダはもう当然として、お惣菜の数が半端ない。朝から嬉しい悲鳴です。キッシュやソーセージ、卵料理といったスタンダートなメニューもありました。そういう温かく食べたいものはバイキングでなく別注文で1個から頼めます。もちろんおかわり自由。
そしてそして、もう1つ特筆すべきはその器たちです。愛媛には砥部焼という、御用窯から発展した磁器があるのですが、それをものすごい種類の中から選べます。コップ・湯呑だけで20種類は超えていたかな。お茶碗、プレート、ボウルに角皿…デザインもとても可愛い。お気に入りの砥部焼で、好きな料理を好きなだけ…人気があるわけだと思いました。
もちろん飲み物とデザートの種類もたくさん、ヨーグルトとパンに添えるジャムは自家製です。最後まで大満足の朝食でした。

この宿の更なる魅力は、チェックアウトが標準で12時なこと。ホテルに滞在しつつ外湯や商店街をゆっくり散策できるシステムです。宿泊専門施設ならではですごく良い。
私は道後にある寺社めぐりをしたかったので、食休みの後に温泉街散策へ出かけました。

まずは本館近くの湯神社へ。
温泉街にちなんだ小さなお社かしらと思いきやすごく立派で、何と延喜式内社でした。さすが道後。
温泉街の中心となる高台にあるので、境内からは街が一望できます。
御朱印はスタンプに日付を書き加えるタイプでした。

続いて伊佐爾波神社へ。こちらは道後・松山の総鎮守で、現在の位置には湯月城を築いた河野氏が建てました。
道後温泉駅を降りて、商店街に入る前に左へ向かう道を見ると、奥にとんでもない石段のある神社が見えます。これが伊佐爾波神社です。「あれを登るのか!」と覚悟を決めてはいたのですが、実際とてもツラかった…金刀比羅宮の良い前哨戦となりました。
社殿は回廊まで備えた立派な造りで、参拝後にくるりと巡ると昔の絵馬や算額についての展示がありました。
この伊佐爾波神社は江戸末期~明治にかけけの算額が22面と多く残っていて、和算の発展を知る大切な史料です。扇を使った問題が可愛かった。
そしてこちらの御朱印もスタンプタイプ…でも御朱印帳がちょっと可愛かったです。

伊佐爾波神社から温泉街に戻る途中、圓満寺という無人のお寺に寄りました。湯の大地蔵を祭ったお寺で、こちらはお結び玉祈願というすんごい可愛い…ある意味さげもん雛に似てる…がありました。
それと恋愛成就を願う俳句絵馬なんてものも。丸い形も裏面の俳句もいい感じ。なんでも2013年から恋愛・開運の街おこしが行われていて、これら可愛らしいご祈願グッズもその一環なのだとか。頑張りますね道後温泉。

宿に戻りチェックアウトし、今度は宝厳寺へ向かいました。こちらは時宗寺院で一遍上人生誕の地とされている由緒正しいお寺でしたが、残念な事に2年前に火災により本堂・庫裡が全焼しました。御朱印だけでも頂けるかな…?と訪れましたが、本堂改修が終わるまでは止めているとの事でした。2016年3月に落成予定です。また是非来ようと思いました。

商店街を見ながら道後温泉駅へ向かい、途中で砥部焼に敗北。お土産はまあ良いとして、自分用のご飯茶碗を増やしてしまいました…
砥部焼が良いなと思うのは、江戸の生活雑器としての磁器の風合いを色濃く残すところ、磁器の中ではいわゆる「下手(げて)」になりますが、17世紀の波佐見焼に惚れてる自分としては無視できない焼き物でした。そこで形は広東だけど、一重の網目模様の薄灰色のブツなんて見つけた日にゃあ…即買いでした。

道後温泉駅から松山市駅までは、昨日も書いた「坊ちゃん列車」なるものが運行しています。ディーゼルエンジンのミニSLがクラシカル客車を牽引します。定員制で切符を事前に買って、そこの番号順に呼ばれて乗り込む…というシステムです。ちょうど良い時間のがありましたので、南堀端電停まで乗る事にしました。
発車を待つ間は、駅前の広場にあるからくり時計を鑑賞します。時計版が裏返りマドンナが出たと思いきや、二段の時計が次々伸びて…そしてお風呂につかる人、人力車に乗る人など「坊ちゃん」にまつわるシーンが再現された人形が現れました。すごく凝ってた。

坊ちゃん列車は通常ホームから乗ります。客車内部は「当時を忠実に再現」との事で、板張りの座席に床、けれどもアーチを描く天井や窓の金具、木製の開き扉がとてもレトロで良かった。そして途中で車掌さんが列車や松山の街について解説してくれます。
カタコトと行き以上にゆっくり揺られる20分の旅を楽しみました。

南堀端で松山駅前(ええいややこしい)行きに乗り換え、割とギリギリの時間で14時58分発の観音寺行きに乗ります。
四国特有のポコンとした山々や瀬戸内海、憧れの石鎚山を眺めながら、何と36駅3時間の列車旅です。乗車時間は今回ピカイチの長さで、途中眠コケながらも鈍行旅を楽しみました。香川県に入ってすぐの箕浦駅の車窓は、夕暮れの時間という事もあり綺麗だったなあ…

観音寺駅で18時42分発の高松行きに乗り、これまた海岸寺駅周辺の車窓は瀬戸内の島々も伴う夕暮れが素晴らしい。いつか島巡りを楽しみたいものです。
多度津、坂出と通り高松駅到着は19時51分でした。どんづまりのホーム構造にウットリしつつ改札を出ると、辺りには潮の香りが。地図で港が近い事は知っていましたが、本当にすぐそこが海なんだなあと感動しました。

高松での宿は片原町にある「ホテルエルステージ川六」でした。時間も時間、でも琴電に乗りたいわと高松築港駅に向かってホームに着くと、背後に石垣が。
…堀…?え、これって高松城…?電車ホームのすぐ裏が城跡というユニークな立地でした。
琴電は街中を走りますが路面電車ではなく、専用の軌道を持っていて、関東でいうと京成電鉄みたいな感じでした。
片原町駅で降りるとすぐにアーケード街に入ります。九州でもアーケードはどこにでもありますが、松山・高松のは規模がケタ違いのように感じました。天文館よりも広いのではないでしょうか。

ホテル川六エルステージ
http://www.kawaroku.co.jp/

ホテルは普通のビジネスタイプですが、レディースフロアがあったり、完全禁煙棟があったり、貸マクラの種類がすごかったり、2ヶ所の大浴場(男女日替わり)があったりと中々充実していて、そしてキレイ。女性へのサービスで、フロントでアメニティバイキングがあるのも良かったです。
客室もコンパクトで機能的な造り。ベッドが広くて、館内着の着心地が柔らかくゆったりしていました。
キャリア別の充電器が枕元に備わっているのは素晴らしかった。
またしても疲れた体にムチ打ち、夕食買い出しと大浴場入浴を済ませて就寝。明朝も早いのです。

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